南側に窓を設けることは、太陽の光を取り込むことの基本です。
太陽から地面に届く光には、直接届く光(直射光)の他に散乱光があり、直射光と散乱光を合わせたものを全天日射と呼び、これはパッシブデザインを理解する上では不可欠なことです。
全天日射のうち直射光が占める割合が多いので、南側にいるお陽さまの光を取り入れるために、まずは南側に窓を設けるのです。
このように南側に窓を設けることは、パッシブデザインの基本的なルールなのですが、それだけでは十分に明るい家になるとは限りませんし、また1面だけに設けた窓では、風が通らないのです。
これらのことを十分に踏まえ、窓から自然のエネルギーを十分に取り込めるよう、窓におけるパッシブなデザインを進めていくことです。
北側に窓を設けることにより、まずは、散乱光や反射光によって北側の部屋が明るくなります。
これはパッシブデザインにおいて「北側の部屋をいかに明るくするか?」という重要なテーマを解決する大きな役目を果たします。
南側の部屋と北側の部屋では、どうしても明るさや暖かさで大きな格差が生じるものですが、パッシブデザインの基本は、いつでもどこでも心地良い住まいです。
北側の部屋においても心地よさをつくるために、北側の窓は大切なことです。
そして北側に窓を設けることにより、もう一つの重要なテーマである「いかに家の中に風を通すか?」についての解決を果たします。
風の出入り口となる窓の配置を考えるのは勿論ですが、家の中のどの場所に風を通すか同時に考えないといけません。
南北に窓を設けることで、家の中の風の流れが見えてくるようになり、それを具体的にどんな流れにするかを十分に検討しながらプランニングすることが求められるのです。